【イギリス映画感想】『わたしは、ダニエル・ブレイク』が日本人に教えてくれるものとは?

【イギリス映画感想】『わたしは、ダニエル・ブレイク』が日本人に教えてくれるものとは?

こんにちは、kinacondaです。

消費税増税、一方で年金受給額の削減。。。

ますます厳しい未来が予測されるここ日本ですが、実際僕達の日常がどこまで厳しいものとなるのか、大半の方がイメージできていないのではないでしょうか。

そんな中、既に緊縮財政のあおりを受けている国があります。

それは、僕が度々ここで降れるイギリスです。

今回は、『わたしは、ダニエル・ブレイク』というシリアス映画を通じて、そのイギリス社会の現実に迫っていこうと思います。

険しさを増す現実の中でも、「人」として決して失われてはいけないものがある、それを教えてくれる作品です。

 

(ちなみに、僕はAmazonプライムビデオで見ました)

 

 

予告動画とあらすじ

 

 

あらすじ

ダニエルが教えてくれたことー

隣の誰かを助けるだけで、人生は変えられる

イギリスに生まれて59年、ダニエル・ブレイクは実直に生きてきた。大工の仕事に誇りを持ち、最愛の妻を亡くして一人になってからも、規則正しく暮らしていた。ところが突然、心臓の病におそわれたダニエルは、仕事がしたくても仕事をすることができない。国の援助を受けようとするが、理不尽で複雑に入り組んだ制度が立ちはだかり援助を受けることが出来ず、経済的・精神的に追いつめられていく。そんな中、偶然出会ったシングルマザーのケイティとその子供達を助けたことから、交流が生まれ、お互いに助け合う中で、ダニエルもケイティ家族も希望を取り戻していくのだった。

ダニエルには、コメディアンとして知られ、映画出演はこれが初めてのデイヴ・ジョーンズ。父親が建具工で労働者階級の出身だったことから、何よりもリアリティを追求するケン・ローチ監督に大抜擢された。ケイティには、デイヴと同じくオーディションで選ばれた、『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』のヘイリー・スクワイアーズ。どんな運命に飲み込まれても、人としての尊厳を失わず、そばにいる人を思いやる二人の姿は、観る者の心に深く染みわたる。

これはもはや遠い国の見知らぬ人の話ではない。ダニエルのまっすぐな瞳を通して、ケン・ローチが教えてくれるのは、どんなに大きな危機を迎えても、忘れてはいけない大切なこと。

出典:オフィシャルサイト

 

 

三つの見どころ

久々にずしんときました。。

それは結局、遠くない未来に、同じような光景を日本でも目にするんじゃないか、と感じたからですね。

舞台となったNewcastleは、個人的に”Geordies”(ニューカッスル人の別称)の人懐っこさと美しい橋の光景しか記憶に残っていなかったのですが、結局ほんの一部分しか見えていなかったんだなと痛感した次第です。

ということで、今回も僕なりの偏った観点で振り返っていきたいと思います。

 

①主人公は妻に先立たれ心臓を患う元大工

本作の主人公ダニエルは、妻に先立たれ孤独な日々を送りつつも、隣に住む若者を世話したり、人情味の厚い男として慕われていた。

そんな時、不運にも心臓を患い、社会復帰の道が閉ざされてしまう。

仕方なく国に助けを求めることになるが、そこで思わぬ現実と不条理に直面することに…。

 

②同じく国の援助を求めるケイティ家族との出会い

ドクターストップがかかり、やむを得ず国の援助を求めて役所を訪ねるダニエル。

複雑且つ理不尽な制度と、融通の利かない係員の対応に頭を抱えていると、同じく援助を求めてやってきたケイティ家族と遭遇する。

ダニエルと同様係員ともめているケイティを見て、困っている人を放っておけないダニエルは、ためらうことなく割って入っていく。

そして、そのままケイティ家族と寄り添う日々が始まるのだった。

 

③大きく変わる現実の一方で、いつまでも変わらないもの

政権交代と共に進められた緊縮財政、その結果割を食う労働者階級の悲惨な現実。

日に日に「当たり前」の日常を期待することすら困難となる中で、それでもダニエルが決して失うまいとしていたもの。

それは、人としての「威厳」、そして「隣人愛」だった。

本作は、現実の儚かさとダニエル達の力強さが同居し、「生きていく」とはどういうことかを考えさせられる物語です。

 

イギリスらしさで五段階評価

僭越ながら、今回もやらせてきただきます。

僕が勝手に考える「イギリスらしさ」観点で、改めて評価してみました。

  • 暗さ/痛々しさ:★★★★
  • ユーモア:★
  • すっきりしないエンディング:★★★★★

 

まずは暗さですが、これについてはパーフェクトと言っていいでしょう。(表現に違和感ありますが・・)

一言で言うと、これ以上イギリスの曇り空が似合う映画もないんじゃないかと。

冒頭からエンディングまで、一貫してダークな感じが、この物語が扱うテーマの「重さ」を見事に描写しています。

ただ「痛々しさ」に関しては、これはあくまで笑いに付随する要素なので、この作品には当てはまらないですね。

よって、痛々しさの分を外して星四つとさせていただきます。

 

次はユーモアですが、もう今回はこの要素はいらないでしょう。

それで測られるべき作品ではないですし、ストーリーからして笑いを要する場面がありません。

とはいえ、主演のDave Johnsが有名なコメディアンということもあり、敬意を表して星一つ与えないわけにいきませんね。

 

そして最後はエンディング。

締めが一番胸が痛み、涙した時点で星五つですね。

「は?何で?」という驚き要素はないものの、ただただ悲しい気持ちになりました。

「その終わり方だけは。。」という気持ちにさせた点で文句なしです。

 

この作品が気になる方へのオススメ

ずばり、『SWEET SIXTEEN』ですね。

イギリス北部の貧しい家庭の日常を、生々しく描写している作品です。

僕にとっては、初めて触れたイギリスのシリアス映画で、且つ初めてイギリス社会の現実を覗いた機会でもありました。

求めているのは「当たり前」の親からの愛、そして平穏な家族との生活、でもそこに手が届きそうでなかなか届かない現実。。

胸にズサズサ刺さる作品で、これを見ると、「今日も思いっきり子供を抱きしめてあげよう」と思うはずです。

 

また、正に同じタイプの以下の作品が、近日上映予定とのことです!

『家族を想うとき』

もちろん僕も見に行きますよ。

何があっても見失っていけないもの

いかがだったでしょうか?

なんだか、見る前から憂鬱になってしまった方もいるかもしれませんね。。

矛盾を多く抱える現行制度への風刺を描きつつ、その一方で、それでも失っていけない「人としての威厳」と「隣人愛」を映している。

そんな、「生き抜いていく」ための教科書のような物語です。

だからこそ、悲しさや儚さ以上に、僕は力強さを感じたのだと思います。

 

自分が同じように追い詰められた時、それでも変わらず家族を、そして他の大切な誰かをダニエルと同じように抱擁してあげられるのか。

その問いを胸に突き付けられたような時間でした。

 

明日は我が身で、日本が数年後に今のイギリスと同じ状況に陥ることは、想像するに難しくありません。

その意味でも、イギリスに関心があるなしに関わらず、全ての人にこそオススメしたい作品です。

 

ではまた。

 

Amazonプライムビデオ

 

これまでご紹介させていただいたUKドラマ・コメディに関する記事↓

 

 

 

 

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