【イギリス映画感想】『家族を想う時』が子を持つ親に問いただすものとは?

【イギリス映画感想】『家族を想う時』が子を持つ親に問いただすものとは?

こんにちは、kinacondaです。

正直、言葉を失っています。。

前回の宣言通りに『家族を想う時』を観てきたのですが、想像以上に喰らいまして・・・

 

 

なんでしょう、今回はその苦悩の直接的な要因が国の制度云々じゃないんです。

親の子への愛も溢れるばかりのものなんです。

でも、なんなんすかね。。。

家族みなが求めているものは共通し、且つ共有し合えているのに、それを阻む現実に抗えないもどかしさ。

軽々しくレビューする心境ではないのですが、それでもやはり、語っていきますね。

 

 

予告動画とあらすじ

 

 

あらすじ

マイホームが欲しい父と母

でも子供たちの願いはただひとつー

毎日、抱きしめて。

イギリス、ニューカッスルに住むある家族。ターナー家の父リッキーはマイホーム購入の夢をかなえるために、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立を決意。「勝つのも負けるのもすべて自分次第。できるか?」と本部のマロニーにあおられて「ああ、長い間、こんなチャンスを待っていた」と答えるが、どこか不安を隠し切れない。

母のアビーはパートタイムの介護福祉士として、時間外まで1日中働いている。リッキーがフランチャイズの配送事業を始めるには、アビーの車を売って資本にする以外に資金はなかった。遠く離れたお年寄りの家へも通うアビーには車が必要だったが1日14時間週6日、2年も働けば夫婦の夢のマイホームが買えるというリッキーの言葉に折れるのだった。

介護先へバスで通うことになったアビーは、長い移動時間のせいでますます家にいる時間がなくなっていく。16歳の息子セブと12歳の娘のライザ・ジェーンとのコミュニケーションも、留守番電話のメッセージで一方的に語りかけるばかり。家族を幸せにするはずの仕事が家族との時間を奪っていき、子供たちは寂しい想いを募らせてゆく。そんな中、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう──

出典:オフィシャルサイト

 

 

三つの見どころ

いやぁもう苦しいっす。。笑

色々自分の仮の姿を投影して、観るに堪えない場面も多々ありました。

子供が求めているのはめちゃくちゃシンプルで、親もそれをわかっている。

でも子供を想うからこそそれを形にすることが難しい。。。

そういうジレンマに満ち溢れた作品です。

ということで、今回も僕なりの偏った観点で振り返っていきたいと思います。

 

①金融危機の煽りで追い詰められたターナー家族

本作の主人公は、ターナー家そのもの。

父リッキーは、10年前、世界的な金融危機に端を発したNorthern Rockの実質国有化により、マイホーム購入直後に多額の負債を抱えることになる。

その後借金返済のために職を転々とし、相対的に高給が見込めるフランチャイズ制の配送業に就く。

家族のために選択したリッキーだったが、その決断が家族を更なる混乱に陥れていくことに…。

 

②非行に走る息子と静観する娘が共通する願い

リッキーが配送業で1日14時間労働を強いられる一方、介護士を務めていた母アビーも、仕事の多忙さからなかなか時間をとれないでいた。

そうして徐々に家族の距離が離れていくにつれて、息子セブは非行に走り始める。

そんな家族を一歩引いて見ていた娘のライザは、なんとか家族の距離感を元に戻そうと、一人腐心していた。

一方、非行に走るセブも、本当はライザ以上に以前の家族の姿を取り戻したいと考え、家族が窮地に立たされたその時、いよいよその想いを行動に示す。

 

③結局家族に必要だったもの

同じように互いを想い、愛しているのに、なかなか元に戻れないターナー家族。

みなが求めているものは極めてシンプルなもの。

それは、共に過ごす「時間」だった。

わかりきってるがゆえに歯がゆい、わかりきってるのにどんどんそこから離れていく、そんなジレンマが描かれた物語です。

 

イギリスらしさで五段階評価

僭越ながら、今回もやらせてきただきます。

僕が勝手に考える「イギリスらしさ」観点で、改めて評価してみました。

  • 暗さ/痛々しさ:★★★
  • ユーモア:★
  • すっきりしないエンディング:★★★★★

 

まずは暗さですが、ここが一番難しいですね。

というのも、一見真っ暗なストーリーでありながら、ところどころで家族全員での温かいひと時も描かれているからです。

従って、真っ暗と断定するほどではありませんでした。

そして「痛々しさ」に関してですが、これは笑いに伴う”painful”というより、むしろ”dreadful”と言った方が適切かもしれません。

つまり、判定しようがない、ということですね。

それら全てを踏まえ、星三つとします。

 

次はユーモアですが、今回もこの要素は省きたいのが本音です。

むしろ笑える場面があったらどれだけ救われたか、、、といった感じでしたね。

とはいえ、フットボール好きの僕にとっては、マンUファンであるリッキーと、地元のニューカッスルファンのおっさんが罵り合う場面だったり、本来言葉を乱さない母アビーがFワードを連発した場面は、辛うじて微笑ましい一コマだったかもしれません。

作者がその要素を組み込んでくれた点で、星一つくらい与えさせてもらいます。

 

そして最後はエンディング。

締めがもう・・5段階評価を超越しました(爆)

表現がぶっ壊れてますが、パーフェクトに辛かったですね。。

会場でもすすり声がその辺中から聞こえてくらいですから、もう想像するに難しくないかと。

それくらい、リッキーの涙に子を持つ親はただひたすらに感情移入していたと思います。

 

この作品が気になる方へのオススメ

前回『わたしは、ダニエル・ブレイク』をご紹介した時と同様、やはり『SWEET SIXTEEN』です。

説明は前回のものをご参考にいただきたいですが、違いは家庭内で求められているものですかね。

 

 

家族を想う時』で欠けてるものが「時間」だとすれば、『SWEET SIXTEEN』で欠けていたのは、そもそもの親からの「愛」でした。

それゆえ、観てる側が感じるもどかしさも変わってくると思います。

 

さすがに前回と変わり映えしないので、あえてもう一点挙げるとすると、『シーズンチケット』ですかね。

すいません、舞台がNewcastleという点くらいしか『家族を想う時」との共通点はないかもしれません。。

とはいえ、前回の『わたしは、ダニエル・ブレイク』と同様、イギリス北部最大の都市であるNewcastleの一面を見ることができると思います。

ホント、僕は大好きな街なんですけど、ことごとく重い映画の舞台になっているのがなんとも複雑です。。

 

結局は金なのか

一通り観た結論は、リッキーが考えていたことと同じような気がします。

リッキーもアビーも、子供たちと同じように家族と多くの時間を共に過ごしたい想いは変わらない。

でも、まず路頭に迷わせないために働くしかない。。

その割り切れない現実に対するどうしようもない感情が、最後の涙だったのだと思います。

僕自身、自分がリッキーだとして他の打ち手ないのか考えました。

でも今もなおそれが思い浮かばないのです。。。

じゃあなた自身はどうするのか?

それをただひたすらに考えさせられる作品だと思います。

 

子を持つ親なら、誰しもが考えたくないけど、もしそうなったら・・と考えさせられる。

それが、『家族を想う時』です。

 

ではまた。

 

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