こんにちは、kinacondaです。
以前、コンサルで求められる三つのスキルについてお話をしました。
今回は、少し角度を変えて、コンサルが陥りやすい罠、いわば注意事項に関してお話したいと思います。
過度なロジカル志向は危険
「コンサル=ロジカルシンキング」、というのは多くの方がなんとなく抱いているイメージでしょう。
確かにコンサルとして必須スキルであることには変わりませんし、上司からレビューを受ける際も、
「ここのロジックおかしくね?」と指摘されることは日常茶飯事です。
でもロジカルシンキングは絶対解ではなく、あくまで正解にたどり着く「一つの」手段でしかありません。
むしろ、何らかの仮説やアイデアを検証するための方法と言った方が正しいでしょう。
ではなぜ過度なロジカル志向が危険なのか、理由は二つあります。
- みな同じ解にたどり着く
- 正しくても「おもしろくない」と却下されてしまう
上記の通り、みなが同じデータを元にただロジカルに考えると、基本的に同じ打ち手に着地します。
ものすごい極端な例を言えば、「寒いから厚着しよう」「収入が減ったから支出を減らそう」というような感じですね。
この思考の何が問題かというと、
- あなたがやらなくてもよくなる
- クライアントにとって競合との差別化ができなくなる
という二点になります。
例えば、とある小売業の新規顧客獲得向上を目指す案件を担当したとしましょう。
「今は世の大半の人がスマホを使っている」、という事実を元にロジカルに考えると、以下のことが言えるかもしれません。
■打ち手:EC強化を推進し、特にアプリを開発してPCを持っていない人も気軽にオンラインショッピングができる環境を作る
■理由:店舗を増やすのは膨大な開発コストとランニングコストがかかる上に、在庫リスクを抱え利益を圧迫する可能性があるから
至極真っ当な提案に見えますが、これって誰でも言えそうじゃないですか?
コンサルどころか、クライアント自身でも思いつきそうなソリューションですよね。
そうなると、たとえ言っていることが正しくても、クライアントの期待値を満たせず、
最悪「つまらん」とその提案が却下されてしまうこともあるでしょう。
むしろ、「そこでしか買えない」という稀少性がブランド価値を高めたり、顧客の「行ってみたい」という欲望をより駆り立てる場合があります。
店舗を増やす/増やさない、EC強化する/しないではなく、今ある状態のままで顧客対応に磨きをかけ、
店舗内のサービスレベルを向上させた結果、SNSなどの口コミから広げよう、でも良いわけです。
もし競合がみな一様にEC強化に走っていたとしたら、結果その策がそのまま差別化要素にもなりえますよね。
もちろんロジカルに考えた末の打ち手がより正解だった、ということもあるわけですが、ここで大事なことは、
ロジックだけで物事を見ると、上記で僕が挙げたような別の選択肢が見えづらくなるということです。
ロジカルシンキングやフレームワークは、あくまで物事を整理したり、思いついたアイデアの妥当性を検証する道具であって、解を出すための絶対的な手段ではないということを理解しておきましょう。
最近、正にそういったロジック一辺倒の進め方に警鐘を鳴らす声が、業界の巨匠達からもあがってきています。
もちろんロジカルシンキングそのものを否定しているわけではなく、これからは、直感と論理を上手く使い分けることが重要と語られています。
その中でも特にこれは必見というものを、以下ご紹介いたします。
『ニュータイプの時代』
元電通、元ボスコンの山口氏の一冊。
これからの時代は、問題解決の能力ではなく、そもそも「真の問題は何か」を発見する力こそ価値がある、というのが全体を通して一貫した主張になります。
その理由は、そもそも問題自体が不足しているからで、またその問題が不足している理由は、
「こうありたい」というビジョン、構想力自体が不足がしているからだと説いています。
つまり、まずそのビジョンを描ける人、「こうあるべきだよな」と考えられる人が、
これからの時代により重宝されるということですね。
これを読むと、最近のホリエモンや西野さんのように、ワクワクするようなことを考え、実行している人がなぜ成功/賞賛されるのかがわかると思います。
『右脳思考』
こちらも元ボスコンで、ボスコン日本代表も務めた内田氏の書になります。
勘とロジックの二元論ではなく、先に挙げた山口氏同様、その両方を上手く掛け合わせていくことが大切だと説いています。
そう著者が感じるようになったのも、多くの経営者と関わる中で、
直感で思いついたアイデアをそのまま推し進めて成功した、という例をよく見たからだそうです。
そのようなケースでは、結果として、そのアイデアが論理的にも妥当だったと後付けで証明されていた、というのも非常に興味深く感じました。
ほぼ主張は山口氏と同じなのですが、唯一の違いは、右脳と左脳の使い分けを具体的に整理している点です。
それは、まず右脳でアイデアを出す⇒それを左脳でロジカルに検証する⇒最後またそれを右脳を使ってクライアントに情で訴える、という形ですね。
この本を読むと、普段仕事外で見聞きしたり、遊びの中で得る一つ一つの感覚が、実は非常に尊いものだと再認識できるはずです。
『いたいコンサル すごいコンサル』
これは先に挙げた二冊とは異なり、がっつりコンサルが最低限身に着けておくべき思考法について書かれた本になります。
「直感の重要性はわかったけど、そもそもコンサルの基本水準てどんなだ?」
と疑問に思った方もいると思ったので、改めてご紹介させていただきました。
というより、これはコンサル全員にとっての必読書で、これを踏まえた上で直感も大事にしていく、
というのが適切だと思います。
自分の感性を大事にしよう
以上の通り、コンサルだからといって、ロジカルシンキングの「原理主義者」になる必要はありません。
むしろなぜ大勢の社員の中にあたながいるのか。
それはあなたにしか思いつかないアイデアが期待されているからでもあります。
ご紹介した巨匠達が言っているように、そのアイデアを立証するためにロジカルシンキングが必要だ、というだけで、直感そのものを捨てろとは言っていません。
なので、「自分ならこう思うんだけどなぁ。。」というのをぜひ大切にしてください。
これまで培った知見、経験から導かれるあなた自身の考えに自信をもって、クライアントにぶつけていきましょう。
ではまた。